35. 一切使っていないインターネット使用料を払う義務はある?
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一切使っていないインターネット使用料を払う義務はある
広島地方裁判所平成24年11月14日判決(判例時報2178号46頁)
【ざっくりどんな事案?】
私たちのマンションでは、各戸が管理組合に対し、インターネット使用料
(月額2,500円)を支払うべきことが管理規約に定められています。
この支払義務は、実際にインターネットを使用しているか否かにかかわりません。
ところが、このたび区分所有者の一人が、
「全くインターネットを使用していないのに、全額の支払義務を定めた規約の規定は、
公序良俗に反しており、無効だ!」
と主張してきました。
【裁判所の判断を簡単にいうと?】
確かに、インターネット接続回線契約やプロバイダ契約に基づき発生する費用は、
インターネットを実際に使用していない者にとって負担すべき根拠がないようにも思える。
しかし、インターネットサービスがマンションの全戸に一律に提供されているということ自体に
よって、マンションの資産価値の維持や増大に資するといえるから、
インターネットを実際には使用しない者も含めた区分所有者全員が利益を受けているといえる。
また、インターネット使用料の月額2,500円という金額も、不当に高額とはいえない。
よって、インターネットを実際に使用していない者に対しても、インターネット使用料の
支払を義務づける規約の定めは、無効とはいえない。
【この裁判例から学べること】
マンション管理の現場では著名な裁判例です。
結論自体は当然と思いますが、
その理由付けが比較的詳細であり、他の特殊な使用料関係にも応用が効くと思います。
要するに、
「今は使ってないだろうけど、いつか使おうと思ったらすぐに使えるでしょ。
そのメリットはあるでしょ。そのメリットの対価として、月額2,500円は
高過ぎないでしょ」
ということだろうと思います。
以上