9. 自治会費(町内会費)を徴収することはできるの?できないの?どっちなの?
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自治会費(町内会費)を徴収することはできるの?できないの?どっちなの?
東京地方裁判所令和2年3月6日判決(判例集未搭載)
【ざっくりどんな事案?】
私たちの管理組合では、分譲時の売買契約や原始規約に基づき、区分所有者全員が近隣の自治会の会員とされています。
そのため、管理規約に基づき、全戸一律月額300円の自治会費が、管理費とは別に、管理組合によって徴収されています。
このたび、管理費等の滞納者(被告)が出たため、管理組合(原告)としてやむを得ず訴訟を提起しました。
ところが、被告から、「自治会費の徴収行為は、管理組合という団体の目的(≒できることの範囲)について
定めた区分所有法3条の範囲外である」、「このような判断をした判例もある」などとして、
自治会費の支払義務を争われています。
【裁判所の判断を簡単に言うと?】
区分所有法3条は、管理組合という団体の目的について、
「建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うため」であると定めている。
しかし、ここでいう「管理」とは、区分所有者が団体的拘束に服すべきものとされる事項を
全て含む広い概念であると解釈すべき。
そして、マンションのような大規模住宅にとって、近隣住民との円滑なコミュニティを形成することは、
マンションの適正な管理を実現するために必要な管理業務といえる。
よって、管理組合が組合員から自治会費を徴収することは、管理組合という団体の目的の範囲内である。
【この裁判例から学べること】
ひところ、標準管理規約の改正の議論に際し、いわゆるコミュニティ条項に関して大きな議論となりましたね。
結局、コミュニティ条項自体は標準管理規約から削除されたものの、同時期に改正されたマンション管理適正化指針においては
「良好なコミュニティ形成に積極的に取り組むことが望ましい」との記載が入りました。あの騒ぎは結局なんだったのでしょう?
さて、私の経験上も、自治会費については、規約や総会の決議がきっちり整っている場合には、
少なくとも訴訟においては支払義務が認められることがほとんどです。
もっとも、組合員には自治会からの脱退の自由が保障されていると考えられています。
よって、明示的な脱退の意思表示があった場合には、それ以降の徴収は不可ですので、この点はご注意ください。